「コンドルは飛んでいく」は、もともとアンデス地方の民謡から作られ、サイモン&ガーファンクルの歌でおなじみの曲です。ちなみにタイトルはスペイン語です。
I'd rather be a sparrow than a snail
Yes, I would
If I could
I surely would
(カタツムリよりは雀になりたいな
そうだとも
できるものなら
もちろんそうしたいよ)
という歌詞で始まります。
I’d rather は、I would ratherの省略された形で、「むしろ〜したい」という意味で、日常会話でもよく使われます。
この歌で使われている仮定法は、仮定法過去形といいます。
これは、仮定を示すif-節(仮定節、従属節)の動詞が過去形であるための名称ですが、実際の文章では、主語や副詞句がその代わりをするなど、if-節が省略されることも多く起こります。仮定法が分からないという学習者が多いのですが、一つにはこの文法用語のせいで、かえって実体が見えにくいのかも知れません。
★仮定法過去形で大事なのは、次の2点です。
- 主節(仮定法の場合には帰結説とも呼ばれます)の動詞は、wouldやcould、mightなど助動詞の過去形+動詞の原形という形をとる。
- 現在の事実とは異なる(と話し手が思っている)ことについて言う。
例えば、
If I had time, I would go with you. という文は、「もし時間があれば、あなたと一緒に行くのですが」という意味で、実際には、現在の時点において、時間が無いので行かれないと、話し手は考えています。
If I have time, I will go with you.と比べてみましょう。この場合には、「時間があれば、あなたと一緒に行きますよ」となり、話し手は、未来の時点で条件が満たされれば、「行くつもりだ」と言っています。ただし、本当に行くのかどうかは分かりません。あくまで、話し手の思いです。
歌の歌詞にもどりましょう。
この歌で繰り返されている
I’d rather … than 〜は、「〜よりもむしろ…したい、…の方が良い」という意味です。2番以降では、
I’d rather be a hammer than a nail(釘よりは金づちになりたいな)
I’d rather be a forest than a street(道よりは森になりたいな)
というフレーズが出てきます。
Away, I’d rather sail away (どこか遠くへ、船で行ってしまいたい)
I’d rather feel the earth beneath my feet(足の下に地面を感じていたいんだ)
では、than〜は出てきませんが、歌詞全体を通して読めば文脈から感じ取れると思います。
また、if-節が、
If I could(できるものなら)、If I only could(できさえすれば)など、助動詞の過去形を使ったフレーズがあります。これらも、日常的によく使われる表現です。
まずは、サイモン&ガーファンクルの歌を聞きながら、歌詞を読んでみて下さい。そして、一緒に歌ってみましょう。